亡くなった祖父の妹なのですが、もう90歳くらいでしょうか。仕事で忙しかった母に代わり、私が幼い頃からすごく面倒を見て可愛がってくれていた、言わば私にとっては第二の母のような間柄の人です(祖母よりも断然好きだった!)。もう随分長いこと会っていないのですが、最後に会ったのは2014年の祖父のお葬式だったでしょうか。会えて嬉しくて「初美おばちゃん、久しぶり」って話しかけたのですが、私のことは忘れてました。誰?って顔をされて、そのままお経を誦じていました。お経は覚えているのに私のことは覚えてない、、
後から聞いた話では、彼女は数年前から認知症を患っていたとのこと。お葬式が終わった後も祖父を訪ねて何回か実家に遊びに来ていたそうです。
「兄さんに会いに来た」
「辰彦さんはもう亡くなったのよ」
「えぇ、、!!!」
本気でビックリして本気で悲しんで帰って行くやり取りが何回かあったそうです。最初のうちは親も一緒になって悲しさを共有していたそうですが、最後らへんはもうコントのようだったと話していました。
そんな初美おばさん、歯が1本もありません。上下とも総入れ歯です。親族の話では、ほとんどの歯を歯周病で失ったとのこと。
人間、歯が無くなると認知症になりやすいという事実は本当だったのか、、、身近で感じた出来事でした。
たまには歯科医院のブログっぽい内容を書きましょう。
なぜ歯が無くなると認知症になりやすくなるのか。
うんと簡単に説明すると
①お口の中の歯周病菌が血管の中に入る
②一部は脳に到達する
③ (歯周病菌をやつけるために脳内で) βアミロイドという物質が生成される
④βアミロイドは歯周病菌を退治してはくれるが(主に記憶を司る)海馬に沈着する
⑤海馬がβアミロイドだらけになり認知症が進行する
歯の周りには歯根膜と呼ばれるクッションのような組織があります。そのクッションのおかげで歯は物を噛むと30μmほど沈み込む構造になっています。歯根膜の中には血管も含まれており、わずかな圧を受けることで血管が圧迫されて脳に血液が送られます。ひと噛みで3.6mlの血液が脳に送られるそうです。ひと噛みですよ!脳は常にブドウ糖と酸素を欲しています。噛めば噛むほど血流に乗ってブドウ糖や酸素が脳に運び込まれます。ウハウハです。たくさん噛むことで脳が活性化されることは想像に難くないと思います。
3.6mlと言ったらちょうどお弁当とかに入っている醤油入れですよね。魚の形をした例のやつです。
逆に歯が無くなると歯根膜も無くなってしまうので脳に送られる血液が減り、その結果脳への刺激も減って脳機能の低下に繋がるのです。ヤル気の喪失やもの忘れを引き起こし、やがては認知症へと繋がっていきます。
身体を張って歯周病と認知症の関係を私に教えてくれた初美おばさん、今は施設に入っているそうです。もう9年くらい会ってないな。お葬式で会うのは嫌だから生きてる間にもう一度会いたいな。インプラントを上下顎に4本ずつ打って(all on 4)今より噛めるようにしたら私のことを少しは思い出してくれないかな、、、なんてことを考えたりする母の日でした。
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